活動報告

 

64-参-環境委員会-1号 平成18年02月02日

○委員長(福山哲郎君) 

 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。関口昌一君。

○関口昌一君

 御報告いたします。  去る一月十六日及び十七日の二日間、京都府及び兵庫県における環境保全及び公害対策等に関する実情調査のため、福山委員長、岡崎理事、真鍋委員、小林委員、鰐淵委員、小池委員、荒井委員及び私、関口の八名で調査を行ってまいりました。  今回の調査では、まず京都府において、京都市の環境行政について説明を聴取した後、京都市の環境保全活動センターである京エコロジーセンター、廃食用油バイオディーゼル燃料化事業を行う京都市南部クリーンセンター、太陽光発電システムを中心に積極的に環境問題に取り組む京セラ株式会社の本社を視察いたしました。また、兵庫県では、下水汚泥からバイオ天然ガスの製造実証事業を行う神戸市東水環境センターを視察した後、尼崎市役所において、アスベスト問題で尼崎市、株式会社クボタ及び患者団体の皆様と意見交換等を行いました。  まず、京都市は、地球温暖化防止を市政の大きな柱と定め、昨年四月には全国初となる「京都市地球温暖化対策条例」を施行し、市内の温室効果ガスの排出量を二〇一〇年までに一九九〇年比で一〇%削減することを目標に、市民、事業者などの責務を定め、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進しておりました。循環型社会の形成に関しては、「循環型社会推進基本計画―京のごみ戦略21」を推進するため、ごみ減量化の促進やリターナブル瓶の回収拠点の拡大、コミュニティー回収制度の普及促進など、より一層の分別・リサイクル対策の充実を図っているとのことでありました。また、家庭ごみにおける有料指定袋制の導入に向けて、昨年九月に策定した基本方針を基に、現在、最終方針の取りまとめを行っているとのことであります。  京エコロジーセンターは、京都議定書が採択された平成九年の地球温暖化防止京都会議を記念し、家庭、地域、職場、学校などあらゆる場所で環境に優しい実践活動の輪を広げるための拠点として平成十四年四月に開設されました。運営面では、「市民参加」や「手作りの運営」を理念として、地域団体や環境NPOなどが参画する運営委員会が各種事業の企画・運営を行うとともに、市民から公募したエコメイトと呼ばれる環境ボランティアが館内案内などを行うという特徴があります。また、建物には、屋上の太陽光発電、地熱利用、雨水利用、高断熱外壁を始め、省エネルギー型設備が多く導入され、さらに、再生材、天然素材の活用など、様々な環境配慮が施されており、これらにより建物から排出される二酸化炭素の量を約三〇%削減できるとのことでありました。  京都市南部クリーンセンターのバイオディーゼル燃料化事業は、家庭や事業所から出る廃食用油を回収・精製し、環境に優しいバイオディーゼル燃料として再利用するもので、全国の自治体に先駆けて行われておりました。昨年九月時点で九百六十七拠点から年間約十三万リットルの廃食用油を回収し、市内のごみ収集車全車約二百二十台に一〇〇%のバイオディーゼル燃料、市バスの一部に軽油との混合燃料として利用しているとのことでありました。このバイオディーゼル燃料化事業には、使用済みてんぷら油のリサイクル、年間約四千トンの二酸化炭素の排出抑制、排ガスのクリーン化、生きた環境教育、地域コミュニティーの活性化の五つの効果があると強調しておられました。なお、同市からは、バイオディーゼル燃料の一層の普及に向け、同燃料の規格化、軽油引取税に係る優遇措置、更なる財政支援の要望がありました。  京セラ株式会社は、太陽光発電事業など従来の取組に加え、固体酸化物形燃料電池などの新規事業により更なる成長を目指しております。同社グループが生産する太陽電池による二酸化炭素削減量は、二〇〇四年で約三十八万トンに上り、二〇〇七年には約百三十六万トンに拡大する予定とのことであります。しかし、太陽光発電事業に関する課題として、日本は太陽電池の生産量では世界第一位であるが導入実績ではドイツに劣ること、世界に冠たる太陽光発電産業を確立すべく長期的な導入目標を早期に具体化する必要があることを挙げておりました。新規事業としては、安全かつ省エネルギー型の家庭用発電・コージェネレーションシステムである固体酸化物形燃料電池の開発が進められております。これは、極めて高い発電効率で、家庭から排出される二酸化炭素を大幅に削減する効果があり、早期の実用化が期待されるところであります。また、同本社ビルの屋上と南壁面には太陽電池パネルが設置されており、年間の発電量は約十八万キロワットアワーで、約九十七トンの二酸化炭素の量を削減できるとのことであり、正に「エコロジービル」であると実感したところであります。  神戸市東水環境センターは、下水汚泥から発生する消化ガスを精製し、都市ガスとほぼ同品質でメタン九八%の天然ガスである「こうべバイオガス」を再生しております。平成十六年十二月に、これを自動車燃料として活用できることを実証し、以降、公用車やパトロールカー、乗客を乗せない市バス等での試験走行を重ね、その性能を確認するとともに、市民を対象とした試乗会を実施するなどして情報発信を行っているとのことであります。今後も実証実験を継続し、平成十八年度以降、市バスや公用車の燃料として実用化していくとのことでありました。実際に、こうべバイオガスを使用した市バスに試乗さしていただきましたが、においも黒煙も出ない非常にクリーンな排出ガスで、ディーゼル車に比べて二酸化炭素や窒素酸化物の排出も削減できるメリットがあり、その実用化が期待されております。  最後に、尼崎市役所では、アスベスト問題について、尼崎市、株式会社クボタ及び「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」とそれぞれ意見交換等を行いました。  まず、尼崎市からは、市民の被害の把握とその不安にこたえるため、健康及び環境相談窓口や対策会議を設置し、アスベストに係る健康診断や疫学調査等を実施して実態把握などを行っているとの説明がありました。委員からは、市のアスベスト対策に係る財政支出状況、疫学調査の進捗状況等について質疑が行われました。なお、同市からは、環境暴露による健康被害者に対し労災補償とバランスの取れた補償の制度化、救済新法における指定疾病を労災の指定疾病と同等にすべきなどの要望がありました。  株式会社クボタからは、同社のこれまでのアスベストの取扱状況とアスベスト健康被害者への対応について説明がありました。クボタでは、旧神崎工場周辺の中皮腫患者に対し、見舞金及び弔慰金を支払うこととしておりますが、これまでに全部で七十件の申請があり、うち十名に見舞金、三十六名に弔慰金を支払い、残り二十四名については現在審査中であるとのことであります。委員からは、旧神崎工場跡の土壌汚染の有無や、アスベストによる健康被害を認識した時期等について質疑が行われました。  中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会からは、患者の苦痛や生活の窮状が訴えられました。また、アスベスト健康被害者に対する救済範囲の拡大、アスベスト被害の拡大を防げなかった国の責任、クボタの旧神崎工場周辺の患者とそれ以外の患者に対する救済格差の解消、政府による疫学調査の実施の必要性、公害として認定されないことに対する疑問などの意見がありました。救済新法に対しては、労災の対象疾病である石綿肺等を指定疾病に含めること、認定基準を労災と同等にすることなどの要望がありました。  最後に、今回の派遣に対しましてお世話になりました関係者の方々に厚く御礼を申し上げて、報告を終わらせてもらいます。

○委員長(福山哲郎君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。     ─────────────